白い春

＃1 運命の出会い／刑務所の廊下を整列して歩く受刑者たちの中に、右足を引きずるようにして歩く佐倉春男（阿部寛）の姿があった。刑期を終え出所した春男は9年分の賃金を手に定食屋に入ると、ビールや食事を大量に注文する。しかし、トイレに行っている隙に賃金を全て盗まれていた。一文無しになり店を飛び出した春男は…。

＃2 少女の約束／警察に連行された春男（阿部寛）はすぐに釈放され、その足でパン屋に向かった。ガラス越しに店内を覗き黙って去っていく春男に、康史（遠藤憲一）は家族に何かしたら許さないとお金の入った封筒を渡そうとする。ある日、公園で遊んでいたさち（大橋のぞみ）の前を春男が通りかかった。さちは親しげに話しかけ後を追いかける。

＃3 少女と母の秘密／清掃会社で働き始めた春男（阿部寛）は、康史（遠藤憲一）に真理子（紺野まひる）のお墓の場所を尋ねるが教えてもらえない。学校帰りのさち（大橋のぞみ）はクラスメートの男子たちから亡き母親の写真を取り返そうとするが、写真が風に飛ばされて木にひっかかってしまう。泣きながら帰るさちを見つけた春男が写真を取ってあげると…。

＃4 本当の父親／栞（吉高由里子）がスーパーで働いていると、さち（大橋のぞみ）がやって来る。今度の日曜に母親・真理子（紺野まひる）の墓参りに行くと聞き、墓地の場所を聞き出す。春男（阿部寛）は栞の描いた地図を頼りに真理子の墓参りに出かける。しかし道に迷っているところをさちと佳奈子（白石美帆）に見つかってしまう。

＃5 俺には娘がいた／追い出されるようにむらかみベーカリーから戻った春男（阿部寛）は、さち（大橋のぞみ）が封筒に入れたと話す真理子（紺野まひる）の写真を探す。その写真を見て、春男とさちが親子であることに気付いた栞（吉高由里子）は自分のポケットに写真を隠す。一方、さちは春男を乱暴に追い返した康史（遠藤憲一）に腹を立て…。

＃6 運命の絆第二章／さち（大橋のぞみ）が自分と真理子（紺野まひる）の子供だとわかり、春男（阿部寛）の中で何かが変化しだした。ためらいながらもハローワークに通い、真剣に職を探すが難航する。春男にもう会わないと約束したさちは明るさを取り戻していた。安心する康史（遠藤憲一）だが、佳奈子（白石美帆）はさちの絵に春男が描かれていることに戸惑いを感じる。

＃7 名乗れない痛み／ちょっとした失敗をしながらも、むらかみベーカリーでの仕事をこなしていく春男（阿部寛）。さち（大橋のぞみ）は春男を自宅である2階に呼んではいけないという康史（遠藤憲一）の言いつけを守りつつ、夕食のデザートに出たイチゴを差し入れに行くなどすっかり上機嫌だ。栞（吉高由里子）は、仕事で疲れて帰ってきてもどこか幸せそうな春男を…。

＃8 二人のお父さん／さち（大橋のぞみ）がテストの点数が悪かったと沈んだ様子で帰ってきた。理由を聞いた春男（阿部寛）は、康史（遠藤憲一）に勉強を教えてやれと訴える。春男に言われたことを悔しく思いながらも、康史はさちを優しく励まして勉強を教えることを約束をする。ところが、さちは康史に内緒にしていた点数を春男が告げ口したと怒り…。

＃9 娘を襲った悲劇／やっと春男（阿部寛）に初給料が出た。康史（遠藤憲一）には少ないと憎まれ口を叩きながらも、実はかなり嬉しい様子。一方、プレハブ小屋で目を覚ました栞（吉高由里子）は、春男に助けられた嬉しさと巻き込んでしまった罪悪感で複雑な思いだった。仕事を終えた春男は栞を呼び出した。喜んで駆けつけた栞だが…。

＃10 娘を救ってくれ／さち（大橋のぞみ）の手術が続く中、春男（阿部寛）、康史（遠藤憲一）、佳奈子（白石美帆）はそれぞれの想いを胸にひたすら祈り続けていた。時間が経つにつれガマンならなくなった春男は、仕事を抜け出し真理子（紺野まひる）の写真に向かってさちを助けてくれと頭を下げる。春男は康史に手術費用を無理させたことを詫びるが…。